アジア特有の熱気の中に垣間見える、フランス植民地時代の名残り。
他国からの企業進出も目覚ましく、ベトナムは観光とビジネスで活気にあふれています。
これらを背景に単身で渡航する人が増えているベトナムですが、
ビザの種類も多く取得方法がちょっと独特なので、注意が必要です。
ここではビザが必要な場合と不要な場合、取得の方法について解説しています。
※ ビザ(査証)とは…
他国籍の入国希望者を事前の身元審査(書類や面接)によって入国しても問題がないと判断した証書。
ベトナム旅行でビザは必要?
ベトナムに滞在するには、基本的にベトナム人または法人がベトナムに招いてくれることが必要です。
そして、現地の出入国管理局に理由と共に招待することを申請すると、
「ビザ許可番号」が入った「Invitation letter(本記事では『招聘状』と訳)」が渡されます。
つまり、ベトナムのビザは、
「ビザ許可番号」が記載された「Invitation letter(招聘状)」を元に発給される仕組みに
なっているのです。
しかし、日本人の場合、次の条件をすべて満たしていればビザなしで入国可能です。
ただし、15日を超えて滞在する場合は許可番号(招聘状)を取得し、
ビザを申請しなければなりません。
しかし、これにも例外があって、許可番号がなくても
の場合には、推薦状などで目的を確約することによって30日間の滞在が可能となります(SQビザ)。
ビザの種類はどんなものが?
日本で発給されるベトナムのビザは20種類あり、それぞれに識別コードが付いています。
ここでは割愛しますが国家・政界レベルのビザだけでも4つに分類され、
他のビザも入国の理由や就労の種類・目的によって、細かく規定されているのが特徴的です。
申請にあたっては適切なビザを取得するよう注意しましょう。
なお、ビザには有効期間内に出入国が1回のみのシングルエントリーと、
複数回可能なマルチプルエントリーがあります。
ビザのカテゴリー | 入国の目的 | 期間 |
---|---|---|
NG1 | ベトナム国家の招待者、外国政府や主要機関などの要人、 これらからの訪問者、家族、関係者など | 12ヵ月 |
NG2 | ||
NG3 | ||
NG4 | ||
LV1 | ベトナムの政党・国会・裁判所・検察院・中央省庁、 商工会議所などに所属する機関に就労する人 | 12ヵ月 |
LV2 | ||
DT | 外国人投資家、外国人弁護士 | 5 年 |
DN | ベトナム企業で就労する外国人 (就労可能期間1~3ヵ月) | 12 カ月 |
NN1 | 国際組織のプロジェクト、 外国の非政府組織の駐在事務所の所長 | 12ヵ月 |
NN2 | 外国企業の駐在員事務所、支店の代表者および外国の経済組織、 文化組織、その他専門組織の代表者 | 12ヵ月 |
NN3 | 非政府組織、駐在員事務所、外国企業の支店、 外国の経済組織、文化組織、その他の専門組織の 駐在員事務所に就労する人 | 12ヵ月 |
DH | 研修・学習する人 | 12ヵ月 |
HN | 会議やシンポジウムに参加する人 | 3ヵ月 |
PV1 | 常駐するジャーナリスト | 12ヵ月 |
PV2 | 短期期間の活動を行うジャーナリスト | 12ヵ月 |
LD | 外資の企業に就労する人 | 2年 |
DL | 観光客 | 3ヵ月 |
TT | LV1、LV2、DT、NN1、NN2、DH、PV1、LDビザが発給される 外国人の両親や配偶者および18歳未満の子供か ベトナム国民の両親、配偶者、子供 | 12ヵ月 |
VR | 親族訪問、その他の目的の人 | 6ヵ月 |
SQ | 同法第17条3項に該当する人 | 30日 |
中でも利用者が多いのは「観光」「ビジネス」「留学」に関係するビザでしょう。
また、この他に現地でのみ発給される「アライバル・ビザ」もあります。
これらについて、もう少し詳しく触れていきましょう。
観光ビザ(DL)
15日以内の滞在であればビザは不要ですが、15日を超える場合はビザが必要です。
また、30日以内に2回以上入国する旅程の場合や、帰国便が決まっていない場合も
ビザが必要となります。
シングルエントリーとマルチプルエントリー(それぞれ30日または88日間有効)があり、
許可番号なしで発給してもらえるので適切な方を申請しましょう。
なお、トランジットだけなら入国にカウントされませんが、
荷物をピックアップしなければならない場合は出国・再入国する必要があります。
30日以内に1回であればビザ不要ですが、
複数回となる場合はビザを取得しておくか次項のアライバル・ビザを申請する、
または荷物を機内持ち込みにする、などの対応が必要になりますから確認しておきましょう。
アライバル・ビザ(到着ビザ)
30日以内にベトナムへ複数回入国する場合、事前に大使館で申請する観光ビザではなく、
ベトナム到着時に空港で発給されるアライバル・ビザを利用する方法もあります。
日本国内のベトナム大使館・領事館は住まいによって管轄が決まっているため、
ビザを取得するのが面倒な地域もありますが、
アライバル・ビザなら空港で少々時間が取れれば発給してもらえるので、手間がかかりません。
ただし、発給が受けられないケースや突然のルール変更などもありますので、
別項を参考に大使館HPなどで必要書類や条件などを確認していくことをおすすめします。
ビジネス関連のビザ(DN/NN3/LD/TT)
ビジネス関連のビザは目的によって細分化していますが、
中でも日本人が利用することの多いビザは次の4点です。
期間は1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、1年があり、
それぞれシングルエントリーとマルチプルエントリーがあります。
招待者となる現地法人や関係者に適切なカテゴリーのビザ許可番号を取得してもらいましょう。
DN : 在ベトナム企業で1~3ヵ月の就労が必要なとき
NN3 : 駐在員事務所、外資企業の支店・組織などで1~3か月の就労が必要なとき
LD : 初回は上記DNまたはNN3で入国し、ベトナム国内で労働許可証(ワークパーミット)を取得後に切り替える
TT : LV1/LV2/DT/NN1/NN2/DH/PV1/LDビザを保有する人の配偶者、18歳未満の子どもなどを対象に発給される帯同ビザ
留学のためのビザ(DH)
研修生や学生を対象に発給される学生ビザで、1か月、3か月、6か月、1年の有効期限がありますが、
入国後、留学先からの申請書類があれば延長することも可能です。
なお、ビジネスビザで帯同した子どもが日本人学校に就学する場合は、
学生ビザを取得する必要はありません。
申請先と申請方法
日本国内でベトナムのビザを発給できるのは、下記の大使館・総領事館です。
東京都渋谷区元代々木町50-11
Tel. 03-3466-3311
管轄 : 北海道、青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島、茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、新潟、富山、石川、福井、山梨、長野、岐阜、静岡、愛知、三重、京都、兵庫、奈良、和歌山、滋賀、鳥取、島根、岡山、広島、山口、徳島、香川、愛媛、高知
堺市堺区市之町東4-2-15
Tel. 072-221-6666
管轄 : 大阪府
福岡市博多区中洲5-3-8 アクア博多4階
Tel. 092-263-7668
管轄 : 九州地方、沖縄県
※ 名古屋・釧路の領事館ではビザの申請を受け付けていません。
DL・SQといった一部を除き、ビザの取得にはベトナム出入国管理局発行の「許可番号」が必要です。
およそ次のような手順でビザを取得すると良いでしょう。
- 許可番号(招聘状)の申請
ベトナムの現地法人(知人または留学先の大学など)が入出国管理局に必要書類(登記簿や指定フォームの書類)を添付して受け入れ申請をすると、5営業日ほどで発行されます。 - 許可番号(招聘状)の受け取り
用紙は2枚ありますが、2枚目の方(表があるもの)をPDFやFAX、コピーなどで現地から送ってもらい、入手します。 - ビザの申請
管轄の大使館・総領事館に次の書類を持参して申請します。
- ●パスポート原本(有効期限が6ヵ月以上)
●証明写真2枚(3×4cm、白黒不可)
●ビザの許可番号(招聘状:現地から入手したもの)
●ビザ申請書 (ダウンロードして記入・持参することもできます)
●申請料金(ビザの種類によって異なります)※ 大使館であれば観光ビザは即日発行ですが、領事館は数日かかります。
また、ベトナム政府は2017年より電子ビザ(e-VISA)の試験運用を実施しています。
30日間有効のシングルエントリーのみで、ビザ代金はクレジットカード払いとなりますが、
大使館・領事館に行く必要がないので非常に便利です。
詳細は在ベトナム日本国大使館ホームページに掲載されていますので、
確認の上、e-VISA専用サイトより手続きしてください。
なお、許可番号の取得は前述の通り現地受け入れ先(招待者)が申請するのが基本ですが、
ビザの種類によっては代行業者による申請でも可能です。
これを持っていれば、アライバル・ビザを取得することもできます。
- インターネットなどを利用して代行業者に許可番号の取得を依頼し、PDF・FAX・コピーなどで入手する。
- 現地の空港に到着後、イミグレーションへ行く前に「ビザ発給窓口」に行き、次の書類を提出してビザを取得する。
●パスポート(有効期限が6ヶ月以上残っているもの)
●証明写真(縦6cm 横4cm、背景は白)1または2枚
※ サイズ注意。現地でも撮影可(有料)。
●申請用紙(ダウンロード)
●許可番号のある書類(招聘状)
※ ビザ代金はUSドルとなるので現金で用意しておくこと。
なお、ビザ発給に関しては変更などもありますので、
事前に大使館・総領事館、現地関係者に確認することをおすすめします。